家づくりとお金のお話

家づくりとお金のお話 / 公認会計士・税理士 林宗義先生

消費税増税と住宅購入プラン

 今回は、来たる2017年(平成29年)に消費税率が10%に上がることに関係して、皆様の住宅購入プランに影響のあり得る情報をいくつか拾い集めてみました。

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 まず、消費税率が10%に上がる時期は、当初予定されていた2015年(平成27年)10月1日から2017年(平成29年)4月1日へと1年半の延期になりましたね。それにしても、住宅のような買い物は発注してから引き渡しを受けるまでの期間が短くないため、いつまでに何をどうしておけば8%で済むのか、そこが皆様ピンと来にくいところだと思います。この点については、実はこのRKB住宅展 小倉北のホームページ内に、既に情報が貼り付けてあるのですが、お気付きでしたでしょうか?→こちら(増税前の賢い家づくり)です。

 さてリンク先のチャート、なかなかよくまとめてくれてあるスグレモノなのですが、それでも分かりづらいとおっしゃる方、ポイントは次の2点です。

  • ポイント1:2016年(平成28年)9月までに工事契約を交わしておけば、完成引渡しが2017年(平成29年)4月にかかっても8%が適用されます。
  • ポイント2:2016年(平成28年)10月以降に契約を交わした場合は、完成引渡しが2017年(平成29年)3月までに済めば8%が適用されますが、4月にかかれば10%が適用されることになります。
消費税が8%になるか10%になるかを判断するための挿絵

 実は、これと同様に半年前までの契約をポイントとする決め事は、8%に上がった際にもありました。あのとき建築業界は消費増税前の駆け込み需要で受注が膨らみ人手不足などもきたしており、上記のポイント2のパターンで進まぬ工事に気を揉んだ施主さんも多かったようでした。2016年(平成28年)度末の時期にかかって新築を考えていらっしゃる方は、契約を交わすタイミングもしっかり考慮に入れておいてくださいね。

 また、住宅関連の各種の税額控除(代表的なものとしては住宅ローン控除)等の適用期限も消費税アップの延期と連動して1年半の延期となったものがあります。その一部について次の2、3で採り上げますが、他にもありますので、関心のある方は国税庁のホームページ等で探してみてください。

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 消費税アップの延期に連動して適用期限が延長されている土地住宅に関わる税制上の優遇には、次のようなものがあります。なお、個々の項目について詳細を示すと煩雑になりますので、国税庁のホームページの該当ページへのリンクを貼ることでご勘弁ください。

① 新築住宅の取得に係る住宅借入金特別控除 … 2019年(平成31年)6月まで
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1213.htm

② 特定の増改築等に係る住宅借入金特別控除 … 平成31年6月まで
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1217.htm

なお、これらの住宅借入金特別控除につきその年の所得税額から控除しきれない場合に
住民税から最大所得額の7%控除する扱いについても、同時期まで延長されています。

③ 認定長期優良住宅等を自己資金により取得した場合の特別税額控除
… 2019年(平成31年)6月まで
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1221.htm

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 次の情報は、単に延期に止まらず、「消費税率10%が適用されてもお得」と見られる場合もあるという耳寄りな話です。

 前回の記事の後半で“建てさせる節税”として採り上げました「直系尊属からの住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置」について、2019年(平成31年)6月まで延期されるとともにいくつかの点で拡充されました。今回の記事で指摘しておきたいのは、非課税限度額が住宅取得に適用された消費税率によって異なる、具体的には“税率10%で購入した場合には非課税限度額を大きくみてくれる”という点です。下表をご参照ください。消費税増額の分を補って余りある贈与が可能になっており【特に2016年(平成28年)10月~2017年(平成29年)9月の期間】、相続対策として有効に次世代へ財産を移転できそうですね。

表:直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合
区分 住宅用家屋の取得等に係る
契約の締結期間
非課税限度額
消費税10%の場合 左記以外の場合
省エネルギー性・
耐震性を備えた良質な
住宅用家屋の場合
平成27年1月~平成27年12月 1,500万円
平成28年1月~平成28年9月 1,200万円
平成28年10月~平成29年9月 3,000万円 (1,200万円)
平成29年10月~平成30年9月 1,500万円 (1,000万円)
平成30年10月~平成31年6月 1,200万円 (800万円)
上記以外の
住宅用家屋の場合
平成27年1月~平成27年12月 1,000万円
平成28年1月~平成28年9月 700万円
平成28年10月~平成29年9月 2,500万円

(700万円)

平成29年10月~平成30年9月 1,000万円

(500万円)

平成30年10月~平成31年6月 700万円

(300万円)

※「左記以外の場合」には、8%の場合だけでなく、個人間の取引で消費税が含まれない場合も含まれています。
増税後の期間にもこの欄に記載があるのはそのためです。
但し、通常の新築でハウスメーカーに発注する新築で言えば該当することはないので()表示としています。

消費税の増税は住宅購入プランにおいて大きなポイントになります。
ぜひ参考にしてくださいね。

2015年6月26日 掲載

家づくりとお金のお話 / 公認会計士・税理士 林宗義先生

家を建てる節税/建てさせる節税

 皆さんこんにちは。今回は「家を建てる節税/建てさせる節税」という題でお話します。
親が家を「建てる」ことは、実は将来の相続に向けた節税対策になり得るのです。また、子が家を建てようという際に親が資金面で協力する(=「建てさせる」)のも、節税になる場合があるのです。

  • ポイント1:家を建てることは、将来の相続税の節税になり得る。
  • ポイント2:子供が建てるのに資金面で協力する手も、相続税の節税に使える。

 さて、家を建てて、なぜ節税になるのか?相続税額は、受け継いだ財産の評価額によって決まります。その建物の評価額ですが、建ててから比較的短期間にかなり下がることをご存知でしたか?北九州市内での実例ですが、8千万円かけて建てたご自宅の評価が、4年程度で3千万円にまで下がっていました。これは、非常に大きな節税の結果になったことが想像できると思います。念のために、この5千万円の圧縮が相続税をどれだけ減らすかを事例に当てはめて試算してみましょう。

【評価額5千万円ダウンの節税効果】

※税額は、配偶者が法定相続分どおりに財産の二分の一だけ取ることを想定して計算しています。

表1:配偶者と子一人による相続の場合
相続財産評価額 2億5千万円 2億円 1億5千万円 1億円
相続税額 2,460万円 1,670万円 920万円 385万円
節税額   790万円 750万円 535万円  
表2:配偶者無し・子二人による相続の場合
相続財産評価額 2億5千万円 2億円 1億5千万円 1億円
相続税額 4,920万円 3,340万円 1,840万円 770万円
節税額   1,580万円 1,500万円 1,070万円  

配偶者と子一人で相続する場合、相続財産評価額と相続税(2人合計)の関係は表1に示してあります。財産評価が2億5千万円なら税額2,460万円のところ、評価2億円となれば(5千万円の圧縮)税額は1,670万円(790万円の節税効果!)となるわけです。2億円を1億5千万円に圧縮した等々の場合の節税効果も同様にこの表でチェックできます。なお、表2は、配偶者は既に亡くなっていて二人の子で相続する場合を想定したものです。

ここでいくつか注意点があります。

注意点1
建物の評価は、市が固定資産税を課するための基礎データとして見積もっている固定資産税評価額に従います。これは納税者サイドからは読めない部分なので、どのくらい評価が低くなるかは事前になかなか把握できまません。
注意点2
節税効果以前に、家を建てた分だけ、当然現預金は減っています(上の事例では建物本体8千万円その他)。納税額は減っても、納税資金が不足しては困ります。その点もしっかりご検討下さい。また、相続を受ける方から見れば、住宅は貰えても自由に使える資金は減る(節税効果を入れても6~7千万円減る)わけです。
注意点3
住宅を建てることは、親御さんにとっても、お子さんにとっても、一生に何回も出来ることではありません。ご本人のご希望だけでなく、配偶者の方の老後の構想、お子さん世代の将来デザインなど、よくご相談なさる必要もあるでしょう。その上で建てようと踏み切るときに、この節税効果も視野にお入れになれば、使える資金を低く見積もり過ぎないで済みます。しっかりご希望を充たす住宅を建てることにつながれば嬉しいですね。

 さて、もう一つ、「建てさせる節税」のほうのお話も致しましょう。こちらは、お子(孫)さんに住宅取得のための資金を贈与するという方法です。

 一般に毎年110万円までの贈与には課税されませんが、”住宅取得資金贈与の非課税特例”を使えば、要件を充たせば最大1,610万円まで課税無しで次世代に財産を移転できます。(平成26年12月末までは非課税枠が最大1,110万円だったものが改正により拡充されました。)

 この1,610万円を使わないで残しておけば相続税はその分にもかかるのに(※)、なんとか無税で引き渡せたことになりますね。これが「建てさせる節税」なのです。
※他に1億5千万円の資産があり配偶者と子一人で相続する場合なら、約250万円です。

 また、贈与税には、相続時精算課税制度というものがあります。簡単に言うと、2,500万円までなら非課税で贈与が可能なのです。これは、前項の1,610万円のうちの1,500万円と併用可能なので、4,000万円までは課税されずに贈与出来ます。ただし、この制度は、将来の相続時にこの贈与の分も合せて計算する(「精算」)というもので、利用に当たっては、その損得を税理士にご相談頂くなどしてしっかりご検討なさることをお勧めしています。

 最後になりましたが、ご家族の貴重な資金が、ご希望を充たす住宅での豊かな生活を手に入れるために使われるといいですね!

2015年4月25日 掲載

家づくりとお金のお話 / 公認会計士・税理士 林宗義先生

相続税、あなたも私もこんなにかかる!

みなさんこんにちは。私は公認会計士・税理士の、林と申します。北九州市小倉北区で会計事務所を営んでおります。これから何ヵ月かにわたって、主に税金について、皆さんが関心をお持ちと思われる話を書いていくことになりました。皆さんの節税等にお役に立てれば幸いです。

さて、第一回は、「相続税、あなたも私もこんなにかかる!」と題しまして、“平成27年1月から適用される相続税改正の結果、どれくらいの相続財産に対してどのくらい課税されるのか?”についてご説明してみたいと思います。

今回のポイントは大きく次の二つ。

  • A:今までなら課税されない規模の相続でも、今後は課税されるケースが増える!
  • B:同じ規模の相続でも課税額はかなり増える!

まず、Aについて。次の表をご覧ください。

表1:相続人の人数と、相続税のかからない財産の上限額
相続人の数 平成26年12月まで 平成27年1月以降
1人 配偶者 (軽減により税額ゼロ) (軽減により税額ゼロ)
6,000万円 3,600万円
2人 ※ 7,000万円 4,200万円
3人 ※ 8,000万円 4,800万円
4人 ※ 9,000万円 5,400万円

※養子は含まれないと仮定しています

 この表に書かれた金額を基礎控除額と言います。基礎控除額が非課税の上限となります。例えばご両親とお子さんお二人というご家庭でご両親どちらかがお亡くなりになった際、従来なら相続財産が8,000万円まで課税されなかったのに、1月1日以降は4,800万円から課税されるということなのです。従来の基礎控除額をよくご存じの方でしたら、それに0.6を掛けた額まで引き下げられた、と覚えて頂けば良いですね。ご自分のご家庭に当てはめて考えてみて下さい、相続税はかかりそうですか?Yesとお答えの方は、当然次は“税額はいかほどか?”とお考えになるはずですね。

 そこで、ポイントBについて。次の表2をご覧ください。配偶者と二人のお子さんが相続人であるケースの、相続税額の早見表です。

表2:相続財産と税額(配偶者と子二人による相続の場合)
相続財産の総額 配偶者 子(それぞれ) 税額計
法定相続分 税 額 法定相続分 税 額
6,000万円 3,000万円 0円 1,500万円 30万円 60万円
8,000万円 4,000万円 0円 2,000万円 80万円 160万円
10,000万円 5,000万円 0円 2,500万円 158万円 315万円
14,000万円 7,000万円 0円 3,500万円 328万円 655万円

※万円未満は四捨五入してあります

 最初の表1で見たとおり、改正前は、相続人3人のこのケースだと相続財産8,000万円までなら相続税はかからなかったのです。また、1億円の場合は100万円(子二人の計、次も同様)、1億4千万円の場合で375万円の税額で済んでいたのです。以前に相続を経験などして税額のイメージをお持ちの方、けっこう高いなと思われませんか?また、従来の税額をご存じない方、“そんなにかかるのか!”と思われませんでしたか?この表では、財産の取り分け方を法定相続分どおりにすることを前提に計算していますが、配偶者が取り分を増やす・減らすことで、税額も変わってきます。また、相続人の人数等によっても違います。

 さて、今回はさきほどのA・B2つのポイントについて確認して頂こうという狙いでご説明してきました。いかがでしょうか?驚かれたのではないでしょうか?

 皆さんのご家庭では、将来の相続に対して、必要となりそうな税額を適切に見積もって、その納付のための資金をどう手当てするか、しっかりプランが出来ていますか?現金や預金があまり残らない、不動産ばかりの相続になりそうな方、準備は今のうちですよ?…こう書くと、家建てるとまずいのか、と思われた方もいらっしゃるかもしれません。そんなことはありません!むしろ、家を建てることが節税になる場合もあります。そういった、税金のことになじみが薄いと分かりにくい、しかし重要な事柄を、今後も一つずつ拾って整理しながらご紹介していきたいと考えております。

次回のテーマは、「家を建てる節税/建てさせる節税」を予定しています。ご両親に建ててもらうつもりの方など、是非次回はご両親と一緒にご覧下さい。

2014年12月1日 掲載